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が増加して、全般的傾向とは異なる行動、すなわちリストラ化等を含む消極的人材確保・補完行動を示しているのが特徴的である。
(千野弘道)

 

第3節 人材確保の現況と採用方式の多様化

 

1 会社の魅力

 

「入社を希望する者や貴社の従業員にとって、貴社の魅力は何でしょうか」との問に対して、図表3-11のように最も指摘率の高いのは「会社が成長している」(49.5%)であり、第2番目は「会社の知名度がある」(37.9%)であった。成長していて将来が期待できる会社で、知名度があることが最も魅力を感じるであろうと判断されている。これらに続くのが「人材育成に熱心である」(32.2%)で、育てることが魅力度を高めるであろうとの考えである。「職場環境がよい」(32.1%)、「転勤がない」(30.3%)、「立地場所が便利で通勤に好都合」(29.8%)など、地方立地企業であるが故の優位性を指摘する企業も多い。また、「完全週休2日制の実施」(28.3%)、「若者が多い」(28.0%)を指摘する企業も4分の1以上を占めていた。「技能やキャリアが身につく」(24.7%)、「抜術革新や研究開発に力を入れてる」(20.4%)などを指摘する企業も比較的多い。
逆に「高齢者の採用に積極的」(4.7%)、「所定労働時間が短い」(8.5%)、「ユニークな経営を行っている」(9.2%)、「まわりに雇用機会が少ない」(9.8%)などを指摘する企業は少ない。
「会社の知名度がある」は規模の大きな企業ほど(30人未満:18.3%、30〜99人:20.9%、100〜299人:45.3%、300人以上:54.6%)指摘率が高くなっており、「職場環境がよい」とか「完全週休2日制の実施」とかは規模の大きな企業で指摘率が高くなっている。ところが、「会社が成長している」とか「人材育成に熱心である」は従業員規模との関連はみられず、むしろ個別企業の経営・人事戦略に依存しているものと思われる。

 

2 人材確保の状況

 

図表3-12のように全体平均では「数の上では確保できている」との企業が57.4%と最も多く、「良い人材が十分採れている」(17.0%)と「数の確保も困難な状況にある」(18.3%)との企業は拮抗している。思うような人材が採れない企業が圧倒的であり、採れている企業は2割に満たないのである。
300人以上の規模の大きな企業では「良い人材が採れている」が24.9%とやや多くなる。それに対して、「数の確保も困難」と厳しい状態になる企業は30人未満の企業の31.2%とほぼ3分の1が指摘している。30〜99人の企業でもこれは22.0%と多く、中小規模の企業ほど人材確保の状況は厳しい。
ところが、「良い人材が十分採れている」との企業は、売上高の伸びが15%以上も減少してい

 

 

 

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